「要約って何を書けばいいの?」「本の内容をまとめるだけじゃダメなの?」「要約と感想の違いがわからない…」
大学のレポートで「要約しなさい」と言われたとき、何をどう書くべきかで手が止まってしまう学生は多いです。
じつは、レポートにおける「要約」には2つの意味があります。
ひとつは「文献や書籍の内容を要約するレポート」、もうひとつは「自分のレポートの要旨(アブストラクト)を書く」ことです。
どちらの要約を求められているかによって、書き方はまったく異なります。
この記事では、レポートの要約の書き方を要約の2つの意味の違い、5ステップの作成手順、テンプレート、課題タイプ別の書き方、NG例まで完全に解説していきます。
レポートにおける「要約」の2つの意味
まず、自分が求められている「要約」がどちらなのかを確認しましょう。
「〇〇を読んで要約しなさい」と言われた場合は、文献の内容をまとめる「文献要約型レポート」です。
「レポートの冒頭に要旨を書きなさい」と言われた場合は、自分のレポートの内容を短くまとめる「要旨(アブストラクト)」です。
この2つを混同すると、求められている内容と異なるレポートになってしまうため注意が必要です。
| 種類 | 意味 | 課題の例 | 書く内容 |
|---|---|---|---|
| 文献要約型レポート | 他人の文献の内容をまとめるレポート | 「〇〇を読んで内容を要約しなさい」 | 文献の主張・論点・結論をまとめる |
| 要旨(アブストラクト) | 自分のレポートの概要を短くまとめたもの | 「レポートの冒頭に要旨を書きなさい」 | 自分のレポートの目的・方法・結論を200〜400字で要約 |
要約と感想・考察の違い
要約を書くうえで最も大切なのは、「要約」「感想」「考察」を区別することです。
要約とは、他人の主張や文章を自分の言葉で正確に短くまとめることです。
要約のなかに自分の意見や感想をまぜてはいけません。
感想は「自分がどう感じたか」を述べるもので、考察は「データをもとに論理的に分析する」ものです。
要約はあくまで「原文の内容を正確に伝える」ことが目的であり、主観を排除する必要があります。
| 用語 | 定義 | 主観/客観 | 例 |
|---|---|---|---|
| 要約 | 他人の主張を自分の言葉で短くまとめること | 客観的(自分の意見は入れない) | 「著者は〇〇と主張している」 |
| 感想 | 自分がどう感じたかを述べること | 主観的 | 「〇〇という主張は興味深いと感じた」 |
| 考察 | データや根拠をもとに論理的に分析すること | 客観的根拠にもとづく | 「〇〇という結果は△△に起因すると考えられる」 |
文献要約型レポートの書き方|5ステップ
「〇〇を読んで要約しなさい」と指示された場合の文献要約の5ステップを解説します。
この手順どおりに進めれば、初めての要約レポートでも論理的にまとめられます。
ステップ1:全体を通読して主旨をつかむ
まず、文献全体をひととおり読んで「著者が最も言いたいこと」を把握します。
最初は細部にこだわらず、大きな流れをつかむことが大切です。
著者の主旨は、序文や結論に書かれていることが多いです。
キーワードや繰りかえされる表現をメモしておくと、要点の抽出がスムーズになります。
| やること | ポイント |
|---|---|
| 全体を通読する | 細部にこだわらず、大きな流れをつかむ |
| 序文と結論を重点的に読む | 著者の主旨はここに書かれていることが多い |
| キーワードをメモする | 繰りかえされる用語や表現をチェック |
ステップ2:段落ごとに要点を抽出する
2回目に読むときは、各段落(パラグラフ)の要点を1〜2文で抜きだします。
各段落のトピックセンテンス(最初の1文)に注目すると、要点が見えてきます。
具体例やデータは要約では原則として省略します。
ただし、著者の主張を裏づける重要なデータは残しましょう。
| やること | ポイント |
|---|---|
| 各段落のトピックセンテンスに注目 | 最初の1文に要点が書かれていることが多い |
| 具体例は原則省略 | 主張を裏づける重要なデータのみ残す |
| 要点を1〜2文でメモ | 各段落の横に書きこむと整理しやすい |
ステップ3:要点の関係を整理する
抽出した要点がどのような関係にあるかを整理します。
「主張」と「根拠」の関係、「原因」と「結果」の関係、「問題提起」と「回答」の関係などを明確にしましょう。
この作業を行うことで、要約がただの箇条書きではなく、論理的な文章になります。
| 関係のパターン | 例 |
|---|---|
| 主張と根拠 | 「著者はAと主張し、その根拠としてBを挙げている」 |
| 原因と結果 | 「Aが原因でBが生じたと著者は分析している」 |
| 問題提起と回答 | 「著者はAという問いを立て、Bと結論づけている」 |
| 対比 | 「AとBを比較し、Cという違いがあると指摘している」 |
ステップ4:自分の言葉で文章化する
整理した要点を自分の言葉で文章にまとめます。
原文をそのまま写すのは「要約」ではなく「書き写し」です。
かならず自分の言葉で言い換えて書きましょう。
ただし、著者の主張を正確に伝えることが最優先です。
自分の解釈や意見を加えてはいけません。
| NG(書き写し) | OK(自分の言葉で要約) |
|---|---|
| 原文をそのままコピーする | 原文の意味を保ったまま自分の言葉で言い換える |
| 自分の意見を加える | 著者の主張を正確に伝えることに徹する |
ステップ5:指定文字数に調整する
文章化したら、指定された文字数に合わせて調整します。
長すぎる場合は重要度の低い情報を削り、短すぎる場合は根拠や補足を加えます。
最後に全体を読みかえして、論理の流れが自然かどうかを確認しましょう。
| 状況 | 対処法 |
|---|---|
| 文字数が長すぎる | 重要度の低い情報を削る。具体例を省略する |
| 文字数が短すぎる | 根拠や補足を加える。著者の論理展開をより詳しく説明する |
| 論理の流れが不自然 | 接続詞を見なおす。段落の順番を入れ替える |
文献要約レポートのテンプレート
そのまま使える文献要約レポートのテンプレートを紹介します。
このテンプレートは「導入→概要→主要な論点→結論の紹介」の4部構成です。
カッコ内を自分の課題に合わせて埋めるだけで、論理的な要約レポートが完成します。
基本テンプレート
以下のテンプレートは2,000字程度の要約レポートを想定した構成です。
序論では文献の基本情報(著者・タイトル・出版年)と、何について書かれた本なのかをかんたんに紹介します。
本論では著者の主要な論点を2〜3つに絞って要約します。
結論では著者の最終的な結論を紹介し、レポート全体を締めくくります。
| パート | 書く内容 | 文字数の目安 |
|---|---|---|
| 導入 | 文献の基本情報と、何について書かれた文献かをかんたんに紹介 | 全体の10〜15% |
| 論点1の要約 | 著者の第一の主張を自分の言葉でまとめる | 全体の25〜30% |
| 論点2の要約 | 著者の第二の主張を自分の言葉でまとめる | 全体の25〜30% |
| 論点3の要約 | 著者の第三の主張(あれば)を自分の言葉でまとめる | 全体の15〜20% |
| 結論の紹介 | 著者の最終的な結論を紹介する | 全体の10〜15% |
導入の書き出し表現
要約レポートの書き出しに使える定型表現を紹介します。
文献の基本情報を冒頭で示すことで、読み手は「何について書かれた要約か」をすぐに理解できます。
| 表現 | 例 |
|---|---|
| 「本レポートでは、〇〇(著者名, 年)の『△△』を取り上げ、その内容を要約する。」 | 「本レポートでは、橋本健二(2018)の『新・日本の階級社会』を取り上げ、その内容を要約する。」 |
| 「〇〇(著者名, 年)は『△△』において、□□について論じている。」 | 「橋本健二(2018)は『新・日本の階級社会』において、日本社会の格差構造について論じている。」 |
| 「本レポートの目的は、〇〇の主張を整理し、その論点を明らかにすることである。」 | (汎用的に使えるテンプレート) |
要旨(アブストラクト)の書き方
「自分のレポートの冒頭に要旨を書きなさい」と指示された場合の書き方です。
要旨(アブストラクト)とは、自分のレポートの内容を200〜400字程度で短くまとめたものです。
研究論文では冒頭にかならず要旨がつきますが、大学のレポートでも長文の場合は要旨を求められることがあります。
要旨に含める5つの要素
要旨には以下の5つの要素を含めます。
すべてを含める必要はありませんが、最低でも「目的」「方法」「結論」の3つは含めましょう。
要旨はレポートの「看板」であり、読み手が最初に目にする部分です。
要旨を読んだだけでレポートの全体像がわかるのが理想です。
| # | 要素 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 1 | 背景 | テーマの社会的な背景や問題意識 |
| 2 | 目的 | このレポートの目的(何を明らかにするか) |
| 3 | 方法 | どのような方法で分析したか(文献調査・アンケートなど) |
| 4 | 結果 | 分析の結果わかったこと |
| 5 | 結論 | 最終的にどのような結論に達したか |
要旨のテンプレートと例文
テンプレートは「本レポートでは、〇〇を目的として、△△の方法で□□を分析した。その結果、◇◇であることが明らかになった。以上から、▽▽であると結論づける。」です。
具体例を見てみましょう。
「本レポートでは、レジ袋有料化がプラスチックごみ削減にあたえた効果を検証した。環境省の統計データと先行研究をもとに分析した結果、辞退率は80%に達したものの、プラスチックごみ全体に占めるレジ袋の割合は約2%にすぎず、ごみ総量への影響は限定的であることが明らかになった。有料化は消費者の意識変革には効果的であったが、プラスチックごみ問題の根本的な解決にはより包括的な規制の導入が不可欠であると結論づける。」
| 要素 | 例文中の該当箇所 |
|---|---|
| 目的 | 「レジ袋有料化がプラスチックごみ削減にあたえた効果を検証した」 |
| 方法 | 「環境省の統計データと先行研究をもとに分析した」 |
| 結果 | 「辞退率は80%に達したものの…ごみ総量への影響は限定的」 |
| 結論 | 「より包括的な規制の導入が不可欠であると結論づける」 |
課題タイプ別の要約の書き方
要約の書き方は課題のタイプによって異なります。
ここでは、よくある4つの課題タイプごとに、要約の書き方のポイントを整理します。
| 課題タイプ | 要約の書き方 | 配分の目安 |
|---|---|---|
| 「〇〇を要約しなさい」 | 文献の内容を客観的にまとめる。自分の意見は入れない | 要約100% |
| 「〇〇を要約し、考察を加えなさい」 | 前半で要約、後半で自分の分析・考察を述べる | 要約60% + 考察40% |
| 「〇〇を読んで感想を書きなさい」 | 要約は全体の30%にとどめ、感想を中心に書く | 要約30% + 感想70% |
| 「レポートの冒頭に要旨を書きなさい」 | 自分のレポートの目的・方法・結論を200〜400字でまとめる | 200〜400字 |
要約で使える表現集
要約を書くときに使える便利な表現を4つのカテゴリーにまとめました。
要約では「著者が述べている」ことを伝えるため、「〇〇は△△と主張している」「〇〇によれば」のような間接話法の表現を使います。
自分の意見を述べる表現(「私は〜と考える」)は要約の部分では使いません。
| 用途 | 表現 |
|---|---|
| 著者の主張を紹介する | 「著者は〇〇と主張している」「〇〇によれば、△△である」「著者の見解では」 |
| 著者の論理展開を説明する | 「著者はまず〇〇を指摘し、次に△△を検討している」「〇〇をふまえて□□を論じている」 |
| 著者の結論を紹介する | 「最終的に著者は〇〇と結論づけている」「以上から著者は△△の必要性を主張している」 |
| 章のつなぎ | 「続いて著者は〇〇について検討する」「ここから著者の議論は△△に移る」 |
要約のNG例と修正例
要約で学生がやってしまいがちな5つのNGを紹介します。
NG1:原文をそのまま写す
原文をそのままコピーするのは「要約」ではなく「書き写し」であり、剽窃(ひょうせつ)にあたります。
かならず自分の言葉で言い換えて書きましょう。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| NG | 原文をそのままコピーして貼りつける |
| OK | 原文の意味を保ったまま、自分の言葉で言い換える |
NG2:自分の意見をまぜる
要約のなかに「私はこう思う」「この主張には賛成だ」といった自分の意見をまぜてはいけません。
自分の意見は、要約のあとの「考察」や「感想」のパートで述べましょう。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| NG | 「著者はAと述べているが、私はBだと思う。」(要約部分に自分の意見がまじっている) |
| OK | 「著者はAと述べている。」(要約部分) → 「この主張に対し、筆者はBと考える。」(考察部分) |
NG3:具体例を全て書く
原文に書かれた具体例をすべて列挙すると、要約ではなく「あらすじ」になってしまいます。
具体例は原則として省略し、著者の主張の骨子だけをまとめましょう。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| NG | 原文の具体例をすべて列挙し、あらすじのようになっている |
| OK | 具体例は省略し、著者の主張の骨子だけをまとめる |
NG4:構成の順序を変える
原文の構成や論理展開の順序を勝手に変えてはいけません。
著者が「A → B → C」の順序で論じているなら、要約も同じ順序でまとめるのが原則です。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| NG | 著者の論理展開の順序を勝手に入れ替える |
| OK | 原文の構成に沿って要約する |
NG5:著者名を書かない
誰の主張を要約しているのかを明示しないと、自分の意見なのか著者の意見なのかが不明確になります。
要約の冒頭でかならず著者名と文献情報を示しましょう。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| NG | 「日本社会の格差は拡大している。」(誰の主張かわからない) |
| OK | 「橋本(2018)によれば、日本社会の格差は拡大傾向にある。」 |
要約の文字数配分
要約レポートの適切な文字数配分は、課題の指示によって異なります。
「要約しなさい」のみの指示であれば、レポート全体を要約に使ってかまいません。
「要約+考察」の指示であれば、要約60%、考察40%が目安です。
「要約+感想」の指示であれば、要約30%、感想70%が目安です。
| 課題の指示 | 要約の割合 | 2,000字の場合 |
|---|---|---|
| 「要約しなさい」のみ | 100% | 要約2,000字 |
| 「要約+考察」 | 60% | 要約1,200字 + 考察800字 |
| 「要約+感想」 | 30% | 要約600字 + 感想1,400字 |
| 「要旨を書きなさい」 | 200〜400字 | レポート本文とは別枠 |
要約チェックリスト
要約レポートを提出するまえに、以下の8項目をかならずチェックしてください。
特に「自分の意見がまじっていないか」は最もやってしまいがちなミスです。
| チェック項目 | 確認 |
|---|---|
| 著者名と文献情報を冒頭に示しているか | □ |
| 原文をそのまま写していないか(自分の言葉で書いているか) | □ |
| 自分の意見や感想がまじっていないか | □ |
| 著者の主張を正確に伝えているか | □ |
| 具体例を列挙しすぎていないか | □ |
| 原文の構成・順序を保っているか | □ |
| 指定された文字数に収まっているか | □ |
| 論理の流れが自然で読みやすいか | □ |
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まとめ
レポートの要約の書き方について、手順からテンプレート、NG例まで解説してきました。
要約で最も大切なのは「著者の主張を正確に、自分の言葉で、短くまとめる」ことです。
自分の意見をまぜず、原文の構成に沿ってまとめることを意識してください。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 要約の2つの意味 | 文献要約型レポート / 自分のレポートの要旨(アブストラクト) |
| 要約と感想の違い | 要約=客観的に内容をまとめる。感想=主観的に感じたことを述べる |
| 5ステップ | 通読→要点抽出→関係整理→文章化→文字数調整 |
| 最大のNG | 原文の書き写し・自分の意見の混入・具体例の列挙・順序の変更 |
| 要約+考察の配分 | 要約60% + 考察40%が目安 |
| 要旨の長さ | 200〜400字で目的・方法・結論を含める |
レポートの書き方全般はレポートの書き方完全ガイド、考察については考察の書き方ガイド、感想レポートについては感想レポートの書き方ガイドもご覧ください。